
はじめに:暗証番号はカード利用の要
マイナンバーカードは、日本の様々な行政サービスを利用するための不可欠なツールとなりつつあります。オンライン手続きや身分証明など、利用シーンが拡大する中で、**暗証番号(PIN)**はセキュリティを守る重要な役割を担っています。
しかし、暗証番号を間違えてロックアウトされたり、忘れたりする事態も少なくありません。そこで本記事では、マイナンバーカードの暗証番号がロックされる理由や最新のロック解除方法、トレンドなどをわかりやすく解説します。
1. マイナンバーカードの暗証番号がロックされる理由

1-1. 4種類の暗証番号と用途
マイナンバーカードには、以下の4種類の暗証番号が設定されています。それぞれ役割が異なるため、混同しないように注意が必要です。
- 署名用電子証明書暗証番号(署名用パスワード)
- 6~16桁の英数字
- e-Taxなどオンライン申請での電子署名に使用
- 手書きの署名に相当する高セキュリティ要素
- 利用者証明用電子証明書暗証番号(利用者証明用パスワード)
- 4桁の数字
- マイナポータルログイン、コンビニ証明書発行、健康保険証利用登録など、頻繁に使われる
- 住民基本台帳用暗証番号
- 4桁の数字
- 住民票の異動手続きなど、市区町村窓口で利用
- 券面事項入力補助用暗証番号
- 4桁の数字
- カード情報(住所・氏名・マイナンバー等)の読み取り補助
1-2. ロックされるまでの誤入力許容回数
暗証番号の種類 | 用途 | ロックされるまでの誤入力回数 |
---|---|---|
署名用電子証明書暗証番号(署名用パスワード) | e-Tax、オンライン申請(電子署名が必要な手続き) | 5回 |
利用者証明用電子証明書暗証番号 | マイナポータルログイン、コンビニ交付、健康保険証利用登録 | 3回 |
住民基本台帳用暗証番号 | 住民票異動手続き(市区町村窓口) | 3回 |
券面事項入力補助用暗証番号 | カード内の住所・氏名・マイナンバー等の読み取り補助 | 3回 |
- 3回または5回連続で間違えるとロック
- 特に4桁暗証番号は、間違えやすくロックしやすい点に注意
- 最近では、入力ミスの覚えがないにも関わらずロックされる「phantom(幻の)」ロックアウトも報告されている

2. 従来の解決策:市区町村窓口でのロック解除
ロックされた暗証番号を**再設定(初期化)**するための、最も確実な方法は次の通りです。
2-1. 窓口での手続きの流れ
- 市区町村の役所(市民課・マイナンバーカード窓口)を訪問
- 「暗証番号の再設定」「初期化」の手続きを行う
- **本人(または法定代理人)**が来庁し、新しい暗証番号を設定
2-2. 一般的に必要となる書類
- マイナンバーカード(原本)
- 本人確認書類(顔写真付き1点以上が望ましい)
- 例:運転免許証、パスポート、健康保険証+α など
- 法定代理人が手続きを行う場合は、代理人の本人確認書類や戸籍謄本などが追加で必要
代理人による手続きは「文書照会方式」による複数回の訪問が必要な場合あり。即日完了しないことも多いので注意しましょう。

3. デジタルな代替手段:スマホ&コンビニを活用
最近注目されている方法として、スマートフォンアプリ + コンビニのキオスク端末を使った暗証番号初期化・再設定が登場しています。
3-1. 対象暗証番号と条件
- 署名用電子証明書暗証番号
- 利用者証明用電子証明書暗証番号
住民基本台帳用暗証番号と券面事項入力補助用暗証番号は、この方法では再設定できない。
3-2. 必要なものと流れ
- NFC搭載のスマートフォン(マイナンバーカード読み取り対応)
- マイナポータルアプリ or JPKI暗証番号リセットアプリのインストール
- 少なくとも片方の暗証番号を覚えている必要がある(片方がロックされても、もう片方が使える状態)
一般的な手順
- スマホアプリで暗証番号初期化の手続きを開始
- 開始から24時間以内に、セブン-イレブン・ローソン・ファミリーマート等のコンビニ店内キオスク端末へ
- マルチコピー機などにマイナンバーカードをかざし、覚えている方の暗証番号を入力
- 新しい暗証番号を設定し、完了
3-3. 制限と注意点
- ロックされた暗証番号両方を忘れている場合は利用不可
- 住民基本台帳用や券面事項入力補助用は対象外
- 端末操作はアプリ開始から24時間以内
- スマホとネット接続が必須
4. 最新トレンドと考慮事項

4-1. 「phantom(幻の)」ロックアウト
- 覚えがないのにロックされていると表示される事例
- オンライン認証とカード情報の不整合が原因と推測
- 対策:市区町村窓口で「暗証番号の再設定」を行い、設定を上書きする
4-2. 顔認証マイナンバーカード(顔認証カード)
- 暗証番号を使わず、顔認証で健康保険証として利用できる新タイプ
- 署名用電子証明書は搭載されないため、e-Taxなど電子署名が必要な手続きには使えない
- 汎用性がやや低下する点に注意

5. 安全な暗証番号管理のポイント
- 推測しやすい数字(生年月日・電話番号など)は避ける
- カードと暗証番号を一緒に保管しない
- 公共の場で入力する際は覗き見に注意
- 4種類の暗証番号の用途をしっかり理解しておく
- 暗証番号が漏洩した疑いがある場合は、速やかに再設定を検討
6. まとめ:自分に合ったロック解除方法を選ぶ
- 市区町村窓口での手続き:
- 最も確実かつ包括的な解決策
- すべての暗証番号のロックを解除可能
- スマホ+コンビニのデジタル手段:
- 署名用 or 利用者証明用のどちらか1つの暗証番号が残っていれば利用可
- 住民基本台帳用・券面事項入力補助用は不可
- 時間制限(24時間以内の端末操作)に注意
近年登場したphantomロックアウトや顔認証カードなど、新たな要素も増えており、マイナンバーカード利用者は自分の状況に合った方法を知っておくことが大切です。市区町村の公式情報や問い合わせを活用して、最新の状況を把握し、トラブルなくマイナンバーカードを使いこなしましょう。